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1日に必要な運動量はどれくらい?
運動は、健康づくりに欠かせませんが、どのような運動をどれぐらいすれば良いのかわからないという方もいるのではないでしょうか。まずは、1日に必要な運動量の目安から紹介します。
運動量の基準となる「METs(メッツ)」と「Ex(エクササイズ)」
1日に必要な運動量を知るうえで必要な基準が「METs(メッツ)」と「Ex(エクササイズ)」です。
「METs」とは、身体活動の強さを、静かに座って安静にしている状態を「1METs」として、その何倍に相当するかで表す単位です。ランニングやサッカーといったスポーツはもちろん、通勤や買い物などの日常的な動作も身体活動に含まれます。たとえば、通常の歩行は「3METs」に相当します。
「Ex」は身体活動の量を表す単位で、次の式で求められます。
Ex=METs×身体活動の実施時間(時)
3METsの身体活動を1時間行った場合、3METs×1時間=3Exです。METsの数値が大きい動作ほど強度が高いため、3METsの身体活動を1時間行う場合と、6METsの身体活動を30分行う場合は同等の身体活動量となります。
目安は「3METs以上の運動を毎日60分以上」
18~64歳までの成人の場合は、3METs以上の運動を毎日60分以上行うのが健康づくりの目安とされています。
3METs以上の運動に該当するのは、次の表のとおりです。普段している動作や運動がどれくらいの強度か確認してみましょう。
3METs以上の運動例 | METs |
普通歩行 | 3.0 |
犬の散歩をする | 3.0 |
ボウリング | 3.0 |
社交ダンス(ワルツ、サンバ、タンゴ) | 3.0 |
掃除をする(カーペットやフロアの掃き掃除、掃除機かけ) | 3.3 |
自重を使った軽い筋力トレーニング | 3.5 |
ゴルフ(手引きカートを使用) | 3.5 |
全身を使うテレビゲーム | 3.8 |
通勤や買い物で自転車に乗る | 4.0 |
ラジオ体操 | 4.0 |
卓球 | 4.0 |
ウォーキング | 4.3 |
速歩きをする | 4.3 |
野球 | 5.0 |
水泳(ゆっくりとした平泳ぎ) | 5.3 |
バドミントン | 5.5 |
子供と活発に遊ぶ(歩く、走る) | 5.8 |
バーベルや運動器具を使う強い筋力トレーニング | 6.0 |
ゆっくりとしたジョギング | 6.0 |
ハイキング | 6.5 |
サッカー | 7.0 |
スキー | 7.0 |
スケート | 7.0 |
テニス(シングルス) | 7.3 |
エアロビクス | 7.3 |
農作業をする | 7.5 |
階段を速くのぼる | 8.8 |
家でできる簡単な運動
自宅でできる簡単な運動を紹介します。外出する必要がなく、トレーニング器具も不要なら、より手軽に体を動かせます。普段は運動しない方も、ぜひチャレンジしてみましょう。
ラジオ体操
ラジオ体操は、ストレッチ、筋力トレーニング、有酸素運動がバランス良く盛り込まれた運動です。ラジオ体操第一で4.0METs、第二で4.5METsと、1回3分程度で効率良く体を動かせます。
ラジオ体操第一は、毎朝テレビやラジオで放送されています。YouTubeでもスポーツトレーナーによる動画があるので、うまく活用して体を動かしましょう。
骨や筋肉、関節をまんべんなく動かせるので、基礎代謝アップが期待できます。座りながらでもできるので、無理のない範囲で行ってください。
スクワット
スクワットも場所を選ばず、幅広い年齢で取り組みやすい筋力トレーニングです。気軽に運動不足を解消できるだけでなく、筋肉量を増やして基礎代謝量をアップさせるのにも有効です。太りにくい体づくりにもつながるので、ぜひチャレンジしてみましょう。
【スクワットの手順】
1.両足を肩幅程度に開いてまっすぐ立つ
2.両手を体の前に、胸の高さに伸ばす
3.腕を水平に保ちながら両膝をゆっくり曲げて腰をおとし、1秒程度キープ
4.前屈みにならないように、ゆっくり両足を伸ばして戻る
5.最初は1~4を1日20~30回繰り返し、慣れてきたら回数を増やして50~100回を目指す
屈伸は、呼吸を止めずにできるだけゆっくり行うのが、上手に負荷をかけるポイントです。
足上げ運動
足上げ運動も、運動不足解消におすすめです。膝は直角になる高さまで上げるのが理想的です。ただし腰に負担がきやすいので、腰痛のある方は軽く上げる程度に、足元が不安な方は壁や机に手を添えて行うようにしましょう。
【足上げ運動の手順】
1.力を入れずに、まっすぐ立つ
2.両足を交互に、ゆっくり膝を曲げて上げ下ろしする
3.最初は1日20~30回の上げ下げを繰り返し、慣れてきたら回数を増やして50~100回を目指す
より負荷をかけたいときは、上半身をひねりながらやりましょう。
屋外でできる簡単な運動
室内での運動が習慣化してきたら、ぜひ屋外でも体を動かしてみましょう。外に出れば、景色を楽しみながら飽きずに運動に取り組めます。
屋外でおすすめの簡単な運動をみていきましょう。
ウォーキング
ウォーキングは、散歩感覚で取り組める簡単な運動です。運動が苦手な方でも手軽に体を動かせて、無理なく運動量を増やすのに役立ちます。
健康のためには、1日1万歩は歩くのが理想的といわれています。しかし、歩数の平均値は男性で6,793歩、女性はさらに少ない5,832歩です。
出典:「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」(厚生労働省)
通勤や通学に電車や車を利用したり、頻繁にエレベーターやエスカレーターを使っていたりすると、1日の歩数は少なくなってしまいます。
しかし、1日1万歩はけっして難しいものではなく、歩数を意識して生活することで達成できます。たとえば、ひと駅分歩く、できるだけ階段を利用するなどの工夫で歩数を増やしましょう。
1日で1万歩を達成できない場合は、週末多めに歩いて「1週間で7万歩」にするのも良い方法です。自分の生活のなかで負担にならない範囲で、少しずつ歩数を増やしましょう。
ランニング
ランニングは、ウォーキングよりも運動強度を高められます。屋外で汗を流して、爽快な気分を味わいましょう。
ランニング初心者のうちは自分の体力を過信せず、自分のペースでゆっくりと、短い距離から始めて負担をかけすぎないようにしましょう。運動前後にはウォーミングアップ、クールダウンもしっかり行います。自分が楽しめる範囲で走りましょう。
サイクリング
外を走るのはきついと感じたら、サイクリングがおすすめです。
しっかりペダルをこぐと、加齢で衰えがちな下半身の筋力アップにも役立ちます。自転車のサドルや車輪が体重を支え、ランニングのように着地時の衝撃もないため、体重のある方や足腰に負担をかけたくない方にもおすすめです。
ランニングよりもスピードが出るサイクリングは、爽快感も得られます。気分転換としても取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
運動が苦手な方や面倒な方でも、ラジオ体操のように簡単な運動なら気軽に取り組めます。まずは家の中でもできる運動から始めて、体を動かしてみましょう。生活のなかで少し多めに歩くのを心掛けるだけでも、運動不足の解消に役立ちます。
また、運動は毎日継続することで、体力や筋力の維持、心肺機能の向上などの効果を発揮します。簡単なものから始めて、運動習慣を身に付けましょう。