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睡眠の質の低下とは?
睡眠の質が悪いと、体にどのような影響があるのでしょうか。睡眠と食事について知る前に、睡眠のメカニズムと睡眠の質が体に及ぼす影響について知りましょう。
眠りのメカニズム
睡眠中は、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返します。ノンレム睡眠は深い眠りのことで、レム睡眠とは体は休まっているものの、脳は活動している浅い眠りのことです。
ノンレム睡眠ははじめの1~2回が最も眠りが深く、就寝してから約3時間の間にノンレム睡眠ができれば、脳も体も休息できるとされています。
また、入眠から2~3時間後は成長ホルモンも分泌されるタイミングです。成長ホルモンは疲労回復などにも関係しています。
朝のすっきりとした目覚めを得るには、眠りについてから3時間はぐっすりと眠れる環境を作ることが大切です。
睡眠の質が落ちていると?
睡眠のメカニズムに合わせてぐっすり眠ることができないと、睡眠時間をしっかり取っていても不調を感じることがあります。
次のような不調があるときは、睡眠の質が下がっているかもしれません。
・眠っても疲れを感じる
・肌の調子が悪い
・風邪を引きやすい
・太りやすくなった
睡眠の質を上げるおすすめの食べ物
質の良い睡眠を取るためには、胃腸が休まった状態で眠りにつくのが理想です。十分に胃腸を休ませるには、眠りにつく3時間以上前に食事を終えると良いとされています。
また、睡眠の質を上げるにはどのような食べ物を摂るかも重要です。ここでは、睡眠の質を上げるのにおすすめの食べ物を成分ごとに4種類紹介します。
【トリプトファン】乳製品、大豆製品、ナッツ、カツオ、バナナ
睡眠の質の向上には、入眠を誘う「メラトニン」というホルモンが大きく関係しています。メラトニンは、眠りをうながすほか、体内時計をリセットする役割もあります。
トリプトファンは、メラトニンの生成に欠かせない成分です。メラトニンの材料となるセロトニンを作るには、トリプトファンをはじめ、ナイアシンやマグネシウム、ビタミンB6が必要になるためです。
トリプトファンは体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。トリプトファンを豊富に含むのが、乳製品や大豆製品、ナッツです。レバーや小麦胚芽、カツオ、マグロ、バナナなどにも多く含まれます。
【GABA】発芽玄米、発酵食品、キノコ類、トマト
睡眠の質を上げるためには、GABAも意識して摂取したい成分です。GABAを摂取すると、リラックス時に現れるα波といわれる脳波が増加することから、リラックス効果が期待できることがわかっています。
リラックス効果により興奮状態が収まるため、眠りにつきやすくなります。なかなか眠れない状態を改善するならGABAの摂取を心がけましょう。
GABAは体内で作られる成分ではありますが、睡眠中に作られるため、不足してしまうと睡眠にも影響してしまいます。
発芽玄米をはじめ、味噌やしょうゆ、漬物やキムチなどの発酵食品、キノコ類、トマトなどにはGABAを多く含むため、意識して摂取すると良いでしょう。
【グリシン】エビ、ホタテ
グリシンはアミノ酸の一種で、肉や魚介類に多く含まれる成分です。体の末端の血行を増進して深部体温を下げるはたらきがあります。深部体温が下がると睡眠の質の向上につながることから、睡眠の質を上げるためにも意識的に摂取したい成分です。
なお、グリシンは深部体温を低下させて睡眠の質を上げるだけでなく、起床時の疲労感の改善にもなることが研究でわかっています。
すっきりした目覚めは日中の疲労感を軽減してくれることから、日中の作業効率の良さにもつながります。
グリシンはエビやホタテなどの魚介類に多く含まれます。朝目覚めてから日中にかけての良いサイクルを作るためにも、グリシンを含む食事を心がけると良いでしょう。
【ビタミンB6】カツオ、マグロ、レバー
ビタミンB6は水溶性ビタミンで、食事でとったタンパク質を分解し、細胞や筋肉、骨など体を構成する組織の材料に再合成する過程をサポートする成分です。
先述したセロトニンやGABAのほか、ドーパミンといった神経伝達物質の合成にも関わりがあるため、睡眠の質を上げるために意識的に摂取しましょう。
なお、ビタミンB6は体に溜めにくく、調理による成分の損失も大きいことから、十分な量を毎日摂取することが望まれます。
ビタミンB6は、カツオやマグロ、レバーなどの動物性の食品に多く含まれています。
睡眠の質を上げるためにできること
ここまで睡眠の質の向上に関わる成分やおすすめの食べ物について紹介してきましたが、食事の改善だけでは思うように睡眠の質が上がらないこともあります。
睡眠の質を上げるには、食事はもちろん、そのほかの日常生活も見直してみるのもおすすめです。ここでは睡眠の質の向上につながる方法を取り上げます。
寝る前のPCやスマートフォンを控える
先述したように、メラトニンは入眠に関わる重要なホルモンのため、睡眠の質を上げるには、入眠前にしっかり分泌されている必要があります。
しかし、寝る前にPCやスマートフォンを見ると、ブルーライトによって脳が朝と勘違いしてしまい、メラトニンが十分に分泌されなくなってしまいます。
メラトニンの分泌を妨げないためにも、寝る1~2時間前からPCやスマートフォンを利用するのは控えましょう。
ぬるめのお湯で入浴する
睡眠の質を上げるには、入浴方法も見直しましょう。良い睡眠のためには、ぬるめのお湯に入浴するのがおすすめです。
40度程度のぬるめのお湯につかると、上昇した体温を下げようとして血管が開くことで副交感神経が優位になります。また、入浴後には熱が発散され体温が下がることから、寝つきも良くなります。
睡眠の質を上げるためには、シャワーだけで済まさず、ぬるめのお湯につかることを習慣づけましょう。
まとめ
「よく眠れた」「すっきり目覚められた」と感じられる睡眠を取るには、睡眠時間を十分に確保するだけでなく、睡眠の質にも注目してみましょう。
睡眠の質を良くするには、メラトニンの生成に必要な成分や、リラックス効果が期待できる成分などを含んだ食事を意識しましょう。
今回紹介した食べ物を参考に、日々の食生活や過ごし方を見直してみてはいかがでしょうか。