十分に寝ても眠たい理由
十分に寝ても眠いと感じる主な理由は下記の通りです。
・睡眠時間が不足している
・睡眠の質が低い
・体内時計が乱れている
・食後の血糖値が急上昇している
・ホルモンバランスが変化する
・薬の副作用
・睡眠障害
それぞれ詳しく解説します。
睡眠時間が不足しているため
まず考えられるのは睡眠不足です。
必要な睡眠時間には個人差があるため、一般的に十分とされている睡眠時間であっても、人によっては足りていない場合があります。
世界全体で見ても日本人の睡眠時間は短いといわれており、自分ではたっぷり睡眠をとっているつもりでも、実は足りていないことも十分あり得ます。
睡眠の質が低いため
睡眠時間が長くても良質な眠りでないと寝足りないと感じがちです。また、睡眠は心身の疲労を回復する役割があるため、質の高い睡眠をとることが重要です。
睡眠の質を低下させる要因には以下があげられます。
・寝る前の飲酒や喫煙、カフェイン摂取
・明るすぎる寝室の照明
・快適でない室温や湿度
・からだに合わない寝具や寝間着
体内時計が乱れているため
上記に加えて体内時計の乱れも、眠たくなる原因のひとつです。
体内時計とは脳内で24時間のリズムを刻む機能のことで、昼と夜の地球の自転にあわせて覚醒と睡眠のリズムを調節しています。
しかし、この調節機能は地球の周期と違い、約25時間周期であるため、この1時間のズレをうまく修正できないと望ましい時間に眠ったり、起きたりすることが難しくなったりします。
体内時計に影響を与える大きな要因は、光の刺激です。眠る前に光を浴びたり、「ブルーライト」を発するスマートフォンなどの画面を見続けたりすることでリズムが乱れてしまいます。
食後の血糖値が急上昇しているため
血糖値の急激な変動は眠気を引き起こします。
食後に血糖値が急上昇すると、それを下げるために大量のインスリンが分泌されるため、血糖値の急降下が起こります。この現象は、睡魔に襲われる以外にも集中力を低下させたり、イライラを引き起こしたりします。
また、血糖値が上がると睡眠と覚醒の調節を行う物質である「オレキシン」の分泌が低下し、眠たくなるとも考えられています。
ホルモンバランスが変化するため
女性の場合、月経や妊娠、出産、更年期などによるホルモンの変動で眠気に襲われやすく、特に月経前や妊娠中は日中に眠気を感じがちです。
男性においても更年期になると、加齢による男性ホルモンの分泌量や体力の低下、環境などの要因が合わさって更年期障害が生じ、眠気を感じることがあります。
薬の副作用のため
薬の副作用により、眠気が生じることもあります。
医薬品の作用のうち、病気の改善に役立つものを「主作用」、からだにとって都合の悪いものを「副作用」といいます。眠たくなる副作用をもつ成分としては「抗ヒスタミン」があげられ、主に風邪薬や鼻炎薬に用いられています。
薬を飲んだあとに眠気に襲われる場合はこれに当てはまることがあります。
睡眠障害のため
睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態のことで、その症状のひとつとして日中に過度な眠気が襲ってくる「過眠」も含まれます。
以下は過眠を引き起こす代表的な疾病です。
・睡眠時無呼吸症候群
・ナルコレプシー
・レストレスレッグス症候群
・周期性四肢運動障害
もし当てはまる場合はできるだけ早く病院を受診しましょう。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まってしまい、からだが酸欠になって睡眠が中断してしまう病気です。
酸欠状態を繰り返すことにより深い睡眠をとることができず、慢性的な睡眠不足になり、昼間に強い眠気を引き起こします。
ナルコレプシー
ナルコレプシーとは、脳の睡眠調節機能がうまくはたらかず、過眠になってしまう病患です。
この病気になると目を覚まし続ける作用のあるたんぱく質を体内で合成できず、日中突然強い眠気に襲われます。
レストレスレッグス症候群
レストレスレッグス症候群とは、夕方から夜にかけて、足を中心にむずむずとした痛みやかゆさを感じる疾患です。
安静にしていると症状が現れるため、ぐっすりと眠ることができず、睡眠不足に陥ってしまいます。
周期性四肢運動障害
周期性四肢運動障害は、足が周期的にピクピク動いてしまうことで、深い眠りが妨げられる疾病です。睡眠の質が低下するため寝不足になり、日中であるにもかかわらず睡魔に襲われてしまいます。
先述したレストレスレッグス症候群とあわせて発症することも多くあります。
日中に眠くならないための対策【睡眠編】
日中に眠くならないためには睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質を上げることが大切です。ここからは具体的な方法を解説します。
【関連記事】質の良い睡眠とは?眠りの質を上げる7つのポイント
就寝前にスマートフォンなどの画面を見ない
寝る前や夜間にブルーライトを浴びると、体内時計の調節や眠りを誘発するはたらきをもつホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制されます。
こうなると脳が昼間だと勘違いし、体内時計が後ろにずれてなかなか眠れなくなってしまいます。
メラトニンを正常に分泌させ、就寝サイクルを改善するためには、就寝前のスマートフォンやPCなどの使用を控えることが効果的です。
また、電子機器の種類によってはブルーライトを調節できる機能を搭載しているものもあるため、確認しておきましょう。
就寝前の飲酒や喫煙、カフェイン摂取を避ける
就寝前の飲酒や喫煙、カフェインの摂取は睡眠の質を低下させるため避けましょう。
アルコールには寝つきを良くする作用がありますが、眠りが浅くなったり、夜中に目覚めてしまったりする作用もあわせもっているため、睡眠の質が低下します。
就寝前の喫煙もニコチンがからだを刺激するため、良質な睡眠を妨げます。
カフェインの覚醒効果はよく知られていますが、これはカフェインが眠気を感じさせる「アデノシン」という物質の作用を阻害するために起こります。カフェインの作用に敏感な方は、就寝の5〜6時間前からは水や麦茶、牛乳などノンカフェインの飲み物を飲むようにしましょう。
就寝環境を整える
睡眠の質を上げるためには、快適な就寝環境を整えることも大切です。温度や湿度、就寝時の服装などに注意しましょう。
人間のからだは体内の熱が発散され、体温が下がることで深い眠りを保つことができます。この効果を最大限に活かす寝床内の温度は33℃、湿度は50%とされており、吸湿性・放湿性・保温性の良い寝具を使うことで快適な就寝環境を保つことが可能です。
特に冬場は就寝前に寝床を温めておくとスムーズに放熱が起こり、寝つきやすくなります。
また、真っ白な照明は寝つきにくいといわれているため、就寝前は暖かみのある色の照明で過ごすのがおすすめです。照明の色を切り替えられない場合は間接照明などをうまく活用しましょう。
就寝時の服装は、ジャージや適当な部屋着ではなく、通気性の良いパジャマが理想です。肌触りが良く、ゆったりと着られるものを選んで使用しましょう。
日中に眠くならないための対策【食事編】
睡眠の質を高めることに加え、食事の観点からも昼間の眠気を防止することができます。ここからは血糖値の急上昇を防ぐ食事中のポイントを解説します。
【関連記事】快眠は「食事」から!睡眠の質を上げる食べ物
食べる順番を意識する
急激な血糖値の変動を防ぐためにはベジファーストが効果的です。食事の最初に食物繊維が豊富な野菜やきのこ、海藻類を食べるようにしましょう。
このような食材から食べ始めることで食物繊維が糖を包み込み、腸に吸収されるスピードを遅らせるため、血糖値の上昇を穏やかにすることができます。
食べる量・食べる時間を意識する
血糖値を急上昇・急降下させないためには食べる量や時間を意識することも大切です。
炭水化物の目標量は1日の総摂取量(カロリー)のうち50~65%が望ましいとされています。過度に制限する必要はありませんが、ご飯やパンなどの主食となるものは血糖値を上げやすいため食べ過ぎないようにしましょう。加えて、食事を早く済ませるのではなく、さまざまな食材をよく噛んで食べることが大切です。
また、欠食やドカ食いは急速に血糖値を高めるため注意が必要です。1日3食、規則正しく食べるように心がけましょう。
食事にお酢を取り入れる
お酢は食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があるといわれています。食事に大さじ1杯(約15ml)のお酢を取り入れるのもおすすめです。
まとめ
日中の眠気は睡眠不足だけでなく、睡眠の質の低下や体内時計の乱れ、血糖値の乱高下などさまざまな原因によって引き起こされます。睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーなどの疾患が隠れていることもあるため、日常生活への支障が大きい場合は早めに受診しましょう。
十分な睡眠時間を確保しているはずなのに寝足りないと感じる方は、良質な眠りにつけるよう寝室の環境を整えたり、血糖値が急上昇しないような食生活を送ったりすることが大切です。昼間の睡魔にお困りの際は今回紹介した対策を試してみてください。