なぜ疲れやすいのか?疲労ごとの原因
私たちの体はなぜ疲れてしまうのでしょうか。ここでは、よくある疲労の種類と疲労ごとの原因について解説します。
肉体的な疲労
肉体的な疲労は、過労や過度な運動が原因となっていることがあります。また、病気が関係していることもあります。過労や運動が原因の場合はしっかり休めば回復しますが、病気が原因の場合は休むだけでは回復できません。
肉体的な疲労は、体を動かすためのエネルギーが不足している状態です。動くのも億劫になるほどの疲れを感じる場合は、体の疲労が原因かもしれません。
特に残業続きで休みがとれていない人、スポーツなどで激しいトレーニングをしている人は、身体面のストレスによって肉体的な疲労が起こりやすいです。
精神的な疲労
精神的な疲労は、職場をはじめとした人間関係、プレッシャーなどから生じる精神面のストレスによる疲れが挙げられます。仕事や職場において強いストレスを感じる人は非常に多いです。毎日の仕事でストレスを感じてしまうと、生活自体が億劫に感じてしまう可能性もあります。
また、精神的な疲労は慢性疲労につながります。慢性疲労とは6ヶ月以上にわたって疲れが続く、または繰り返している状態を指し、実に日本人の45%程度の人が慢性疲労を感じているという結果も出ています。
さらに半年以上疲労感が続き、判断力の低下や睡眠障害が続くような場合は、「慢性疲労症候群」という病気の可能性も捨てきれません。慢性疲労と名前は似ていますが、まったく別の疾患なので混同しないように注意が必要です。
実践してみよう!疲れやすい人の対策方法
疲労を感じたら、なるべく早く対処して回復する必要があります。ここでは、4つの疲労回復方法を紹介します。
食事
疲労回復のためには、バランスの良い食事を意識することが大切です。バランスの良い食事をすることで、疲労回復に欠かせないビタミンやミネラルなどの消化吸収の改善を見込めます。特にビタミンは、疲れているときに不足しやすいので注意が必要です。
疲れているときこそ、意識して疲労回復の決め手であるビタミンB群を摂るようにしましょう。ビタミンB群は、「TCAサイクル」に欠かせない栄養素のひとつです。
TCAサイクルとは、栄養素からエネルギーを生み出すエネルギー代謝のことを指します。TCAサイクルを回すには、特にビタミンB1の摂取が必要不可欠です。ビタミンB1は、炭水化物を分解するのに必要な栄養素なので、積極的に摂りましょう。
また、ビタミンは組み合わせ次第でさまざまな効果があるといわれています。たとえば、ビタミンCは鉄分の吸収を助ける作用があるだけでなく、ビタミンEと一緒に摂ることで抗酸化作用の向上が期待できます。抗酸化作用は細胞の老化を促す活性酸素を取り除く働きをもっているため、細胞の機能が正常に働き、体に必要なエネルギーが生成され、疲れを感じにくくなるのです。
ビタミンをはじめとした栄養素を食事によってバランスよく摂取することで、疲労回復を目指しましょう。
睡眠
睡眠には疲労回復効果があります。積極的に睡眠をとることで、肉体的な疲労、精神的な疲労ともに回復が見込めるのです。しかも、しっかり睡眠をとることで日中の集中力の向上なども期待でき、生活や仕事のパフォーマンスを上げることにもつながります。
疲れをとるには、6時間~8時間程度の睡眠をとるのが理想的です。
しっかり疲れをとるには、睡眠の質が重要です。睡眠には、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があります。睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠が繰り返し起こり、最初の1回~2回のノンレム睡眠で最も深い眠りが得られるのです。
入眠してから3時間程度でノンレム睡眠に到達すれば、脳も体も十分に休息がとれ、朝目覚めたときに熟睡感を得られます。
質の良い睡眠をとるためには、交感神経から副交感神経へ切り替えることが大切です。副交感神経が優位になることで、体がリラックスした状態になり、入眠しやすくなります。
まずは、寝る前にスマートフォンやパソコンを操作するのをやめましょう。スマートフォンやパソコンから発するブルーライトを浴びると交感神経が優位になり、寝付きにくくなります。
より副交感神経を高めるには、寝る前のストレッチや深呼吸がおすすめです。就寝前はリラックスして過ごし、安定した質の良い睡眠を手に入れましょう。
また、日頃から睡眠の質を落とさないように過ごすことも重要です。
たとえば、コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインを摂取すると睡眠に悪影響を及ぼすため、夕方以降はペパーミントやレモングラスなど、ノンカフェインのハーブティーを飲むことをおすすめします。
副交感神経を優位にするためには、心と身体をリラックスさせる必要があります。寝るまでの間に自分の好きなことを行うことで小さな気分転換となり、リラックス効果を高めることにもつながるでしょう。
運動
疲労回復には運動もおすすめです。体は疲れていると、筋肉が固まって血行が悪い状態になります。そうなると、細胞に栄養が運べなくなったり、老廃物を排出しにくくなったりします。運動によって身体を動かすことで全体に蓄積された老廃物が流れて疲労回復につながるのです。
疲労を回復するには、アクティブレスト(積極的休養)と呼ばれる疲労回復方法を行いましょう。体を動かして血流を促進することで、疲労の蓄積を防いで新陳代謝を促します。
「疲れているときに運動をすると余計に疲れてしまうのでは?」と思ってしまいますが、実は疲労回復の理にかなった方法のひとつです。
アクティブレストにおすすめの運動は、以下のとおりです。
・ストレッチ
・有酸素運動(ジョギング・ウォーキングなど)
・プール
息切れするほど激しい動きは必要ないので、負担のかからない程度の運動を行いましょう。ジョギングやウォーキングは、テンポよく動くのがおすすめです。
肉体的疲労や精神的疲労を感じているときは、一度試してみてはいかがでしょうか。
入浴
疲労回復には、交感神経よりも副交感神経を優位にしてリラックスする必要があります。
ぬるめの入浴は副交感神経を優位にする働きがあります。疲れをとるためにも、39℃程度のお湯に20分以上入浴しましょう。
しっかり湯船に浸かることで、身体の血流が良くなり、新陳代謝が高まります。血流が促進されることで老廃物が取り除かれ、身体のコリや痛みを和らげる効果も期待できます。
また、質の良い睡眠をとるためにも入浴は大切です。
人は深部体温(体の内部の温度)が下がると、眠気が訪れるようになっています。入浴すると体は温まって末梢血管が広がります。すると体内の熱が放出され、深部体温が徐々に下がるため、入浴後は眠気が引き起こされやすくなるのです。スムーズな入眠を促すためにも、入浴をうまく活用しましょう。
笑う
疲れが出たら早いうちに回復することがいちばんですが、そもそも疲れにくい身体になることができれば、今よりも楽に過ごせるかもしれません。
もし日頃から疲れを感じているのであれば、笑うことを意識してみてください。笑うことは、疲れにくい身体づくりに必要です。笑うことでナチュラルキラー細胞が活性化され、ウイルスやストレスに強くなります。普段から一緒に過ごす家族や友人との会話などで笑うことを心がけましょう。
また、笑うことによって免疫力が強くなり、ストレスをためにくくなるため、精神的な疲労感を軽減することにもつながります。
まとめ
今回は疲れやすいときに試したい対策について紹介しました。仕事や家事、育児など目まぐるしく過ぎる日々の中において、疲れを感じてしまうのは必然ともいえます。疲れを感じたらその日のうちに回復するのが鉄則ですが、疲れにくい身体をつくることも大切です。
今回紹介した方法を試しながら、疲れをすぐに回復できる環境を整えましょう。