なんだか食べられない……。食欲がないときの栄養補給はどうする?

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食欲不振で食べられないと、栄養不足や体力の低下が心配になることはありませんか?食欲不振時には、健康維持のために普段よりも食事の内容に気を配り、効率的な栄養補給を心掛ける必要があります。 本記事では、食べられないときの栄養補給のポイントをはじめ、食欲不振を招く生活習慣の改善方法についても解説します。

「食べられない……」食欲がないのはナゼ?

普段より食べられないとき、私たちの身体のなかでは何が起こっているのでしょうか?そもそも食欲不振とは、次のような状態が続くことです。

・食事を摂っていないにもかかわらず、空腹を感じない
・食べたいのに食が進まない
・食事がおいしく感じられない

食欲を感じるメカニズムには、脳の視床下部にある摂食中枢が関係しています。食事を一定時間以上とらないと、血糖値の低下や胃の収縮が起こり、空腹を感じさせる摂食中枢が刺激されます。摂食中枢が活発化すると、人は空腹を感じるのです。

このメカニズムが崩れて、食欲不振が生じます。その主な原因として、以下が挙げられます。

・加齢
・生活が不規則
・季節の変わり目
・ストレス

十分に食べられない状態が長引けば栄養不足となり、筋肉量の減少や体力・免疫力の低下が起きやすくなります。

一時的な食欲不振は、生活習慣の改善やストレスの解消などで戻る場合がほとんどです。しかし、数日以上続く食欲不振がみられるのであれば、何らかの病気が隠れているおそれもあるので、早めに医療機関を受診しましょう。

普段よりも食べられないときの栄養補給

食欲がわかないときほど、普段よりも栄養に配慮した食事で体調維持を心掛けたいものです。次に、食欲不振時の栄養補給のポイントをご紹介します。

少量で栄養価の高い食べ物を摂る

栄養価の高い食べ物を選んで、効率良く栄養を摂取しましょう。炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をまんべんなく含み、かつ、タンパク質に関してはアミノ酸スコアが高い食材は栄養価も高いため、おすすめです。

アミノ酸スコアとは、体内で生成できない9種類の必須アミノ酸をバランスよく含有しているかをスコアで表したものです。必須アミノ酸は1種類でも不足すると、健康維持に必要な体内でのタンパク質合成が滞ってしまいます。

タンパク質が不足すると、筋肉量だけでなく、集中力・思考力の低下も招くといわれており、日常生活に支障をもたらす可能性があります。

五大栄養素をバランスよく含み、アミノ酸スコアにも優れた食品には、牛乳や卵、大豆製品、ヨーグルトなどがあります。

のど越しの良い一品を取り入れる

「食事がのどを通らない……」そんなときには、のど越しの良い一品を献立に加えてみませんか?栄養価も高い食材を選べば、食べやすさと栄養の両方を叶えられます。

おすすめは、納豆、オクラ、なめこなどの「ねばねば食材」です。茹でて刻んだり、たたいたりすると粘りが出て、のどを通りやすくなります。

そのほかにも、口の中で噛みやすいよう、乳製品・卵などのつなぎ・とろみ食材を使うことも大事です。より身近な食材なので、食卓にも取り入れやすいでしょう。

消化に良いものを食べる

消化の悪い食品を避けて、身体への負担を軽減しましょう。消化の良い食品の特徴は、柔らかくて脂肪分が少なめであることです。以下に、消化の良い食品・悪い食品の例をまとめました。

 

消化の良い食品例

消化の悪い食品例

主食

ご飯、おかゆ、

うどん、そうめん

玄米、そば、スパゲッティ

主菜

鶏肉、赤身肉、

白身魚(カレイ、サケなど)、

卵、豆腐、納豆

揚げ物、炒め物、

バラ肉、ベーコン、

うなぎ、サバ、タコ、イカ

副菜

大根、キャベツ、

白菜、玉ねぎ、

ほうれん草、いも類(じゃがいも、

里いも、長いもなど)

山菜、ごぼう、

たけのこ、きのこ

果物

りんご、バナナ、桃

柿、梨、パイナップル

辛い食べ物・味の濃い食べ物は、消化液の分泌を促す一方で、刺激が強すぎると、胃腸に不快感をともなう可能性もあります。胃腸が弱っているようなら、控えておくほうが無難です。

手軽にコンビニで購入する

食欲がないときは、そもそも料理を作る元気が出ないこともあるでしょう。そうした場合は無理をせず、コンビニで手に入る食べ物でエネルギー不足や栄養バランスの偏りを補うのもひとつの方法です。

医薬部外品であるパウチ入りのドリンク・ゼリーは、消化・吸収に優れ、食事で不足した栄養を補給する補食として活用できます。

また、タンパク源となるヨーグルトや冷奴、サラダチキンのほか、ビタミン補給ができる果汁ジュースやバナナも、補食や献立のもう一品におすすめです。

お酢を摂取する

お酢は食欲増進に効果的です。さわやかな酸味が嗅覚と味覚を刺激し、唾液や胃液の分泌を促します。

普段の食事にお酢を取り入れてみてはいかがでしょうか?ピクルスやモズクはもちろん、食事でとることが難しい方はビネガードリンクで摂取することもおすすめです。

「食べられない」から脱却するには?

食欲不振の根本的な解決を図るには、普段の生活から見直す必要があります。食事による栄養補給と並行して取り組んでみませんか?

生活習慣を見直してみる

睡眠不足や食生活の乱れは、食欲不振を引き起こすリスクをはらんでいます。

自律神経には副交感神経と交感神経の2種類があり、リラックスした状態で働く副交感神経が優位になると、消化・吸収が促されて空腹を感じやすくなります。逆に、交感神経が優位な状態に傾けば、消化・吸収は抑制され、空腹が感じづらくなる仕組みです。

睡眠不足が続くと自律神経のバランスが崩れやすくなり、消化・吸収が低下して食欲不振が起きる場合もあります。日頃から睡眠時間を確保して、夜更かしをしないように心掛けることが大切です。

加えて、寝る前の食事・過度な飲酒も消化不良を起こしやすく、食欲不振の原因になり得るので控えましょう。

ストレスは適度に解消する

最近、強いストレスがかかるできごとはありませんでしたか?急性のストレスは交感神経が優位となり、食欲を抑制してしまいます。ストレス解消のため、次のような方法でほっと一息つく時間を作ってみてください。

ツボを押す

中脘(へそから指4本分上)は食欲不振に効果的なツボです。1ヶ所当たり10秒程度を目安に、心地良いと感じる強さで押しましょう。3〜5回繰り返します。

同じく、食欲不振に効くツボが足三里(膝の皿の外側にあるくぼみから指4本分下の小指があたるところ)です。このツボは少し痛いと感じるくらいの強さで、3秒押してから、3秒かけて力を抜くのを数回繰り返しましょう。指でグルグルとマッサージするのもおすすめです。

深呼吸(腹式呼吸)をする

緊張が続くと呼吸は浅くなりがちです。腹式呼吸の繰り返しで副交感神経が優位となり、リラックス効果が得られます。

息を吐くときは、口から、ストレスが身体から出ていくことをイメージしながら、お腹がへこむまで息を出します。吸うときは、お腹を膨らませながら鼻から吸います。

1日15分の運動をする

通勤時のウォーキングをはじめ、寝る前のストレッチ、休日のランニング・筋トレなど、取り入れやすい運動を習慣化しましょう。ストレス解消だけでなく、睡眠の質の向上にも寄与します。

誰かに相談する

仕事や人間関係のトラブル、金銭問題など、誰しもひとりでは対応しきれない悩みを抱えることがあります。そんなときは、思い切って身近な信頼できる人や専門家に相談してみませんか?

話を聞いてもらうことでストレスが軽減したり、思わぬ問題解決の糸口が見つけられたりするかもしれません。

まとめ

食欲不振は、不規則な生活やストレスといった原因で起こり、ほとんどの場合は一時的なものです。普段と同じ内容の食事は摂れなかったとしても、栄養価や消化の良さ、食べやすさなどに配慮した食事で、まずは必要な栄養を補給することが大切です。

同時に、生活習慣の改善やストレス解消で根本的な解決を図ることも大切です。健やかな食生活で、はつらつとした毎日を取り戻しましょう。