体脂肪とは?
体脂肪を減らすにあたって、体脂肪とは何かを理解しておくことが重要です。まずは、体脂肪と体脂肪率についてご説明します。
からだには2つの脂肪がある
からだに蓄えられる脂肪には、内臓脂肪と皮下脂肪の2種類があります。体脂肪は、この2つの総称です。
内臓脂肪は、胃や腸などの周りに溜まりやすく、減らしやすいのが特徴です。内臓脂肪が増えると、おなかがポッコリ張り出した「りんご型肥満」と呼ばれる体つきになります。
一方、皮下脂肪は、皮膚の下に蓄積します。下腹部やお尻、太ももに脂肪がつく「洋なし型肥満」になりやすく、減らすのが難しいという特徴があります。
健康的とされる体脂肪率とは
体脂肪率とは、体重のうち体脂肪が占める割合です。次の計算式で求められます。
体脂肪率%=体脂肪量(kg)÷体重(kg)×100
健康的とされる女性の体脂肪率は、20〜29%が目安です。肥満度は体脂肪率によって以下のように分類されます。
| 軽度肥満 | 中等度肥満 | 重度肥満 |
男性 | 20%以上 | 25%以上 | 30%以上 |
女性(15歳以上) | 30%以上 | 35%以上 | 40%以上 |
脂肪は女性ホルモンの分泌に不可欠であるため、男性と比較して女性は脂肪が多い傾向にあります。
体脂肪率が高い原因
体脂肪率が高くなる原因として、食生活の乱れがあげられます。これにより、摂取カロリーが消費カロリーを超え、過剰なエネルギーが脂肪として蓄積されるのです。
食事に気を配り、摂取カロリーさえ抑えれば良いかというと、そうではありません。適正摂取カロリーを守っていたとしても、運動不足が続けば、使われなかったエネルギーが脂肪として蓄積されていきます。
加齢も体脂肪率の上昇に影響します。加齢による筋肉の減少とともに基礎代謝が低下し、エネルギー消費量が減ってしまうのが主な理由です。基礎代謝とは、生命維持に不可欠な最小限のエネルギーのことで、筋肉量に比例して増減します。
また、睡眠不足も脂肪の蓄積を促す原因となります。睡眠不足が続くと、食欲を抑えるホルモンの「レプチン」が減少し、食欲を増進させるホルモンの「グレリン」が増加するため、脂肪が蓄積されやすくなるのです。
体脂肪率が高いとからだに及ぼす影響
脂肪が過剰に蓄積された状態で、BMIが25以上の場合、肥満とみなされます。BMIは、肥満度の国際的な指標で、「体重(㎏)÷身長(m)2」の計算式で算出されます。体脂肪率は、補助的な指標として肥満の判断に役立てられています。
出典:「肥満と健康」(厚生労働省)
肥満は、放置すれば、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病のほか、心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾病を引き起こす因子にもなり得ます。
気になる体脂肪を減らす方法
体脂肪を減らす鍵となるのは、健康的な食習慣と適度な運動です。
無理な減量は、過度な食事制限で極端な低体重になる拒食症、月経異常(生理不順)などを誘発するリスクもあります。
健康を保ちながら減量するには、3~6ヶ月かけて体重の3%程度落とすのが目安です。ご自身の健康状態を見ながら取り組みましょう。
食事で意識したいこと
食生活では、3食をきちんと摂ったうえで、栄養バランスや食べるスピードにも気をつけることが、体脂肪を減らすためのコツです。
朝食・昼食はしっかり食べ、夕食は軽めに摂る
近年、約24時間周期で時を刻む体内時計と食事の相互作用により、健康的なからだを目指す「時計栄養学」が注目されています。そのなかで、肥満を招くという体内時計の乱れを整える鍵となるのが、食事です。
3食のなかでも、エネルギー消費が大きい時間帯にあたる朝食と昼食は、しっかり食べても良いとされています。特にタンパク質を中心とした朝食は、筋肉維持にもつながるといわれています。
一方で、エネルギーが消費されにくい夕食は、遅い時間に食べるほど脂肪を溜め込みやすいこともわかっており、軽めに摂るのがおすすめです。
食事の間隔が空き、次に食事を摂るときにはつい食べる量が増えてしまいがちです。夕食の量が増えると脂肪の蓄積を招くので、朝食、昼食は抜かないようにしましょう。
量よりも品数を多くする
単品料理は、食材が限られるために栄養の偏りが生じやすくなります。そこで、品数を増やして多様な食材を摂るようにすることで、栄養バランスが整い、栄養不足を補おうとして生じる食欲が抑えられます。
エネルギー代謝に欠かせないビタミンB群、筋肉量の維持や増加に必要なタンパク質などは、脂肪を溜めにくいからだづくりに効果的な栄養素なので、意識して摂取しましょう。
食事はゆっくりよく噛んで食べる
食べ物が消化されて血糖値が上がると、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激され、食欲が収まります。満腹中枢が刺激されるまで、食事を始めてから20〜30分ほどかかります。
食べ物をよく噛めば、食べるスピードが抑えられ、満腹感が得られる前に食べすぎてしまうことを防ぐことが可能です。また、咀嚼は、唾液の分泌を促すため、消化、吸収にも良い影響を与えます。
内臓脂肪の減少に効果的な食材や成分を摂る
内臓脂肪の減少に効果的な食材に、緑茶、りんご、お酢があります。
緑茶に豊富な「茶カテキン」と、りんごのなかでも特に「ふじ」や「王林」に豊富な「プロシアニジン」は、いずれも体内の活性酸素を除去する抗酸化作用をもったポリフェノールの一種です。継続的な摂取で内臓脂肪が低減すると報告されています。
加えて、お酢は、1日大さじ1杯(15ml)を継続的に摂ることで、内臓脂肪を減少させるといわれています。
運動で意識したいこと
有酸素運動や筋力トレーニングを取り入れて、楽しくからだを動かす習慣を身につけましょう。
有酸素運動を行う
ウォーキング、水泳などの有酸素運動は、脂肪の燃焼に効果的です。理想の頻度は、1回あたり30〜60分の有酸素運動を週3〜5日続けることだといわれています。
5分、10分でも脂肪は燃焼されますので、まとまった時間が取れないときは、短時間に分けて有酸素運動を行い、できる範囲で継続しましょう。
有酸素運動に筋力トレーニングも併用するとなお良い
有酸素運動と無酸素運動である筋力トレーニングを組み合わせれば、効率よく脂肪を燃焼させられます。
先にご説明したとおり、筋肉量が増加すれば、基礎代謝もアップします。筋力トレーニングによる筋肉増量は、運動でエネルギーを消費しやすいからだづくりにつながるのです。
運動することを楽しむ
運動を習慣化するには、体脂肪率や体重の変動に一喜一憂するのではなく、からだを動かすことそのものを楽しむ気持ちが大切です。
そのためにも、からだに無理のかかる運動の仕方はおすすめできません。しばらくからだを動かしていなかった方は、けがをしやすいので、ストレッチで筋肉をほぐしてから運動しましょう。痛みが続くときは、必要に応じて医療機関を受診してください。
日常生活で意識したいこと
最後に、日常生活の過ごし方で注意したい点をお伝えします。
規則正しい生活を送る
食事のリズムや規則正しい睡眠習慣は、からだのエネルギーバランスを整えるのにも重要です。
時計栄養学によれば、朝は光を浴びて、朝食をきちんと摂ることが、体内時計の乱れをリセットするといわれています。
睡眠不足も食欲に関わるホルモン分泌に影響を及ぼすので、体脂肪を減らしたいときには注意が必要です。個人差はありますが、6~8時間前後を目安に十分な睡眠をとるようにしましょう。
ストレスを溜め込まない
ストレスを感じると、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。その際、食欲を抑制するホルモンであるセロトニンが減少してしまうため、過食を招くほか、からだに内臓脂肪が溜め込まれる場合もあります。
適度な運動や栄養バランスの取れた食事、休養を基本に、ストレスに負けないからだづくりに努めましょう。
まとめ
健康的な食生活や適度な運動などを習慣化することで、からだは脂肪を溜め込みにくい体質へと変化していきます。ただし、過度な減量は健康を害するリスクもあるので、無理のない範囲で行うことも大切です。
体脂肪のお悩みを減らして、すっきりとしたからだと心で毎日を過ごしましょう